ぶどう膜の病気(ぶどう膜炎)
ぶどう膜炎とは?
「ぶどう膜」とは、茶目(虹彩)および虹彩から目の後方にかけて連続する組織(毛様体および脈絡膜)の総称です(図1)。この為、「ぶどう膜炎」という言葉からは、ぶどう膜を構成する虹彩、毛様体、脈絡膜における炎症をイメージしますが、実際は眼内における炎症すべてにこの「ぶどう膜炎」という言葉が用いられています。
このようなことから、最近では「内眼炎」とも呼ばれています。
ぶどう膜炎の症状
ぶどう膜炎が生じると、最もよく現れる症状は、霧視(かすみがかかったように見えること)と
羞明感(まぶしく感じること)です(図2)。
その他、視力低下、眼痛、充血、飛蚊症(虫が飛んでいるように見えること)(図3)などの症状もみられます。
片眼だけのことも両眼のこともあり、両眼交互に症状が現れることもあります。
症状の経過は、だんだん悪くなるものもあれば、一時的に良くなり再びまた悪くなるといった再発・寛解を
繰り返すものまでさまざまです。 ぶどう膜炎の症状
ぶどう膜炎の原因は、細菌、真菌(カビ)、ウイルス、寄生虫などによる感染症が約15%、
自己免疫病などの全身の病気(ベーチェット病、サルコイドーシス、原田病など)が約30%、その他に外傷や
悪性腫瘍も少数ありますが、約半数は原因が特定できない、いわゆる「同定不能のぶどう膜炎」です。
いずれの場合も、ぶどう膜炎の発病には何らかの免疫異常がかかわっていると考えられています。
我が国のぶどう膜炎の原因として多い上位3つは

サルコイドーシス

原田病

ベーチェット病

で、
これらは「日本の三大ぶどう膜炎疾患」と呼ばれています。 ぶどう膜炎の検査
一般的な眼科検査に加えて、血液検査・胸部X線検査などの全身検査、必要に応じては
網膜断面構造解析(光干渉断層撮影:OCT)、眼底の血管造影検査(蛍光眼底造影)を行います。
また、ぶどう膜炎の診断では、問診から得られる情報もたいへん大切ですので、
「眼症状が起こったときからの状況」を眼科受診する前に自分で整理しておいた方がよいでしょう。 ぶどう膜炎の診断
ぶどう膜炎は、問診、眼科検査所見、全身検査所見から統合的に診断されます。
しかし、各々の病気に特徴的な所見が一度の診察でみられることはほとんどなく、またいくつかの病気に
絞り込めても鑑別のために追加の検査が必要になります。
最初は同定不能のぶどう膜炎であっても経過とともにぶどう膜炎の病気が診断されることもあり、
診断に苦慮する目の病気の一つです。 ぶどう膜炎の治療
基本的には薬による内科的治療です。原因が細菌などの病原微生物による場合は、
その病原微生物に有効な薬が使用されますが、多くのぶどう膜炎の原因は不明であることから眼炎症に対する
抗炎症療法と合併症予防が中心となります。
三大ぶどう膜炎のベーチェット病、サルコイドーシス、原田病など、ぶどう膜炎の種類や重症度によって
治療法や治療の程度は異なりますが、まずは抗炎症薬として副腎皮質ステロイド薬の点眼が処方されます。
合併症は、炎症により茶目(虹彩)が黒目(水晶体)に癒着し瞳が不整円となる虹彩後癒着が初期よりみられ、
白内障や緑内障の原因になるので、散瞳薬の点眼が同時に処方されます。 ぶどう膜炎の合併症
ぶどう膜炎の合併症には、白内障、緑内障、硝子体混濁、網膜前膜症、嚢胞様黄斑浮腫などがあり、
治療を継続していても生じることがあります(各病気の詳細は他項を参照してください)。
これらの合併症による視力障害が進行すれば、手術が必要になります。 予後
ぶどう膜炎を来した目の病状経過は病気によってある程度分かりますが、
視力予後に関しては同じ病気であってもさまざまです。
一方、同定不能のぶどう膜炎ではその病状経過は不明であり、視力予後も経過をみていかなければなりません。 おわりに
ぶどう膜炎は目の中の炎症であることからすぐに治る目の病気ではありません。
上記症状を自覚したら必ず眼科を受診することが大切です。感染が原因ですと、
一日でも早く治療を開始しなければ失明する病気もあります。
不適当な点眼や通院の自己中断はぶどう膜炎の活動性を高め、予後を悪化させますので、
眼科医の指示に従い通院し、適切な点眼、内服治療を受けることが必要です。日常生活においては、
ぶどう膜炎が悪化したときの行動を覚えておき、その行動を避けること、
避けられないときには十分な注意を払うことが大切です。
その他は、他の病気と同じように日頃から規則正しい生活を心掛け、心身ともに十分な休養を取りましょう。
(日本眼科学会-目の病気より引用)